「Javaの開発は、JDKというツールで行います」――これは、おそらくJavaの入門書などで最初に書かれていることでしょう。JDKにJavaのランタイムやコンパイラが入っており、これを使って開発を行う――これは、確かに正しい説明です。が、実は正しくありません。

今どき、Javaの開発に「JDKでプログラムをコンパイルして開発している」という人はいるでしょうか？　現在のプログラムは非常に複雑な構成をしています。いくつものソースコードファイル、各種のリソース類、細かな情報を記述した設定ファイル、XMLによるデータ、多数雨のフレームワークとライブラリ。これらをきれいにまとめて「JDKでコンパイル」できる人は果たしてどれだけいるでしょう。

プログラムで必要となるファイル類が増えるにつれ、JDKではなく、本格的な開発ツールを利用する人が増えてきました。Javaでもご多分に漏れず、「Eclipseでしか開発したことがない」といった人も多いはずです。今更コマンド入力で開発しろ、といわれても覚えてないよ、という人が大半ではないでしょうか。

こうした開発ツールは便利ですが、「その開発ツールで作成したプロジェクトしか使えない」という問題もはらみます。開発環境が他の開発ツールに変更になったけど、プロジェクトが移行できない、なんてこともあります。プロジェクトを送ってもらったら、見たことのない開発ツールだったんで使えない、なんていうこともあるでしょう。

開発ツールの違いなどに影響を受けてしまうのは、それぞれのツールでプロジェクトの共通化が図られていないためです。こうした現状から、最近特に注目されるようになっているのが「ビルドツール」による開発です。



ビルドツールというのは、プロジェクトの作成・テスト・ビルド・デプロイといった基本的な作業を行うための専用プログラムです。まぁ、正確にいえば「プロジェクト管理ツール」というべきですが、一般に「ビルドツール」という言い方のほうが広く利用されているようです。

ビルドツールは、コマンドを使ってプロジェクトの作成やビルド作業などを行います。コマンドとして各種の作業が行えるため、各種の開発ツール内から利用するのも比較的簡単です。このため、最近の開発ツールではビルドツールに対応していたり、内部でビルドツールを使ってプロジェクト作成やビルドを行うようになっているものも増えています。

こうしたものでは、実際にプロジェクトの作成やビルドはビルドツールが行なっていますから、同じビルドツールに対応している他のプロジェクトに容易にプロジェクトを移行することができます。またビルドツールで作成されるプロジェクトはほぼ同じようなファイル構成になるので、開発ルールなどが異なってもだいたい同じように開発が行えるのです。

また、ビルドツールは、ビルドの内容を記述したファイル（ビルドファイル）を読み込んで処理を行うので、ビルドファイルの内容を理解すれば、きめ細かにプロジェクトを管理できます。

プロジェクトが複雑化するにつれ、ビルドツールの重要性は高まっています。これから本格的に開発を学ぼうというなら、ビルドツールについてもしっかりと理解しておきたいものですね！